胸鎖乳突筋の緊張、ほぐす前に大切なこと
首の横にすっと伸びる「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」
この筋肉は後頭部から鎖骨につながっていて、首を回したり、前に倒したりする動きに関わっています。
でも、この筋肉がガチガチに硬くなっているからといって、いきなり強くほぐすのは少し危険です。
力任せに押すと、血管やリンパ、神経を傷つけてしまうことも。また、強い刺激に慣れてしまうと「もっと強くしないと効かない…」と感じやすくなり、ますます硬くなってしまうこともあります。
では、そもそもなぜ胸鎖乳突筋がこるのか?
その原因を解決しないと、一時的にほぐしても、すぐに元に戻ってしまいます。
胸鎖乳突筋がこる原因とは?
① スマホ・PCの長時間使用(ストレートネック)
スマホやPCを長時間使うと、頭が前に出る姿勢になりがちです。
頭の重さ(約5kg)が前に傾くと、胸鎖乳突筋が引っ張られ、常に負担がかかった状態に。これが続くと、筋肉が緊張しやすくなり、首こりや肩こりの原因になります。
② 呼吸の浅さ(自律神経の影響)
ストレスや加齢で呼吸が浅くなると、胸鎖乳突筋が過剰に働いてしまいます。
本来、呼吸は横隔膜を使って行いますが、呼吸が浅いと補助筋である胸鎖乳突筋が代わりに働き、負担が増えてしまうのです。
③ 噛みしめ・食いしばり
ストレスや歯の噛み合わせの影響で、無意識のうちに食いしばっていませんか?
胸鎖乳突筋は、咀嚼(そしゃく)に関わる筋肉とも連動しているため、食いしばりが続くと、首のこりや頭痛の原因になることも。
④ 姿勢の悪さ(猫背・巻き肩)
猫背や巻き肩の姿勢が続くと、頭の位置が前にずれ、胸鎖乳突筋が引っ張られたままになります。さらに、肩や背中の筋力が弱まると、首だけで頭を支えようとして負担が増大し、結果として首や肩のこりが悪化してしまいます。
⑤腕の使いすぎ
腕を使いすぎると、肩や背中が緊張し、姿勢が崩れます。その結果、膝に負担がかかり、痛みにつながることも。さらに、膝の痛みをかばうと体のバランスが乱れ、肩こりを引き起こします。全身はつながっているため、部分的なケアではなく、バランスを整えることが大切です。
こりを解消するために大切なこと
胸鎖乳突筋がこる原因のほとんどは、日常の姿勢やクセにあります。だからこそ、一時的にほぐすだけでなく、根本的な原因を改善することが大切です。
✔ スマホを見る時間を減らす・目線を上げる
✔ 深い呼吸を意識する(腹式呼吸)
✔ 食いしばりのクセを見直す(寝る前のリラックス)
✔ 姿勢を整える(肩甲骨を開くストレッチ)
無理にほぐすのではなく、身体のバランスを整えることが、胸鎖乳突筋の緊張をやわらげる近道です。
自律神経が整うことで、さらに筋肉がゆるみやすくなると感じています。
年齢を重ねると、姿勢やストレスの影響が大きくなります。
だからこそ、無理をせず、楽しみながら優しく整えていくことが大切だなっと思います。
「なんだか首が重いな…」と感じたら、まずはご自身の身体にやさしく向き合ってみてください。
もし「どうしたらいいかな?」と悩んだら、お気軽にご相談ください。